憂鬱

大きな鏡の中からせかせかとピエロが出てきた
鏡の前でうろうろ歩くとすぐに鏡の中に入っていった
すぐ又鏡の中からでてきたピエロ
ぐるっと鏡の周りを回って鏡の中へ消えた
やがて又すぐにピエロが出てきた
何をするでも無く又鏡の中へ
そうやっていつまでも出たり入ったり
空は青く明るく輝く戸外
紅葉した桜の葉が風に吹かれ踊っている
暗くやるせない室内
そう言えばさっきトイレに入っていたとき
掛かってきた電話は誰からだろう
ベランダの蔦葛が重々しく垂れ下がる午後の落日
ひんやりとした空気が支配して
ピエロが鏡の中へ消えた

   10月25日晴れ


次へ(道を歩く/朝靄の中に)
詩集・目次