大きな風呂のジャグジーより
湧き立つ波が足の上を流れる
ゆらゆらと白と青との波流れ
私の足の上流れ地の果てに落下する
地の果てに巡航ミサイルも落下する
スカッドミサイルも落下する
「君死にたまふことなかれ」と*
叫んだ日々も地の果てに
人、地の果てより来る
獣追い幾多の争い続け旅する
日の本に来たりて遺伝子は
戦いを反芻する
常緑樹に囲まれシイ、カシを採り
魚採り、やがて稲を刈り安住する
しかし戦いを止めず
波の大河を流れる、小川を流れる
ゆっくりと、また早く
山々の水を集めいくたの争いの中を流れ
海に下る
自然の営みが繰り返され
日々の生活が繰り返される
ゆらゆらと波に身をゆだね
白と青の織りなす流れを見つめると
我が身のうちに遠き遺伝子が
密やかにうごめく
*(注)「君死にたまふことなかれ」与謝野晶子作詩
(旅順口包囲軍の中にある弟を嘆きて)
改造社版現代日本詩集より
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'03年3月21日
(アメリカ軍イラクに侵攻する)